それは、秘密の物語。
信じるか、信じまいか――
某日。アマクナ村の教会で、男と女は永遠の愛を誓った。
しかし、幸せは長くは続かなかった。
きのこたけのこをめぐって勃発した、ボンタとブラクマールの戦争。
それが2人のつかの間の平和を破ったのだ。
ぢゃっくの元に、ついに徴兵がかかる。
徴兵を知らせる赤い紙を、妻であるシャオリーは憎憎しげに睨み付けた。
「私はホワイトロリータ派なのに…!!」
きのこたけのこよりももっと大事なものがあるだろうに。
些細なことで世界を二分した戦争よりも、もっと。
「行ってくるよめすぶた!」
いつもの軽口を残して、ぢゃっくはシャオリーの頭を撫ぜる。
そうすると、彼女は一瞬目を細めたあと、子供扱いされたと怒るのである。
ぢゃっくはそれを見るのが好きだった。
「大人しく待ってろよ!」
そうして、彼はいとしい妻の頭を撫でる。いつものように彼女が目元に険しさをにじませる。
変わらないそれを最後に刻み付けて、彼は戦地へと足を向けた。
それが、シャオリーの見た、最後の夫の姿であった。
戦争は、彼が想像していたよりも過酷だった。陰惨で、残酷であった。
ついさっきまで話していた仲間が、溶けたチョコレートにまみれ、倒れていく。
「衛生兵!衛生兵!!」
「くそ、こんなところで死んでたまるか!」
砕けたビスケットの粉にまみれ、無残に散るぢゃっく。
夫の帰りを待つ妻の元に届けられた報せは、あまりにも――
「嘘でしょう!?」
夫の帰りを待ちながら、駄犬どもに鞭を振り下ろしていた女王様ことシャオリーは、届けられた電報に愕然とする。
驚きのあまり鞭の手元が狂い、駄犬の股間に当たる。とても痛い。犬から可哀想な悲鳴が上がった。
「せっかくのATMが!」
そうして、彼女は復讐を果たすべく、戦地へと乗り込んだ。
ただし、犬が。
「わん!」
女王様の命令を受け、全力でその意を叶えるべく動く犬ども。
コーのパンツという報酬のため、そして、何より女王様の喜ぶ顔が見たいがために。
とても訓練されている。わん!
――犬どもにとって、それは長き戦いであった。
そして、彼らは仇のもとへとたどり着く。
しかしそれは、彼らの信奉する女王様にとって、残酷な結果であった。
「俺はこの風俗嬢と新たな生活を楽しむんだぜ!」
そこには、ビジネスライクな手法で風俗嬢をモノにしたぢゃっくの姿。
「こんなところ見られたら何されるか…口封じのためお前らには消えてもらう!」
このことを女王様に伝えに行こうと、踵を返した彼らに、ぢゃっくは容赦なく刺客を差し向ける。
途中、ボンジョルノが尻に特大のきのこの山を突き刺され死亡したものの、彼らはどうにか追っ手を振り切り、女王様へとたどり着く。
口々に犬が告げる事実を知ったシャオリーに、再び走る衝撃。
しかし、彼女の立ち直りは早かった。
「そう……。」
取り落とした鞭を拾おうともせず、シャオリーはゆっくりとある場所へと向かう。
数分後、台所から出てきたシャオリーが手にしていたのは、
「 切 り 落 と す 。 」
シャオリーが手にしていたもの。それは、よく使い込まれた包丁。
そして、壮大な夫婦喧嘩が始まる――
劇場版『Avengers』 第1弾!
「女王、襲来」「見知らぬ、天井」「置けない、バーセプター」
監督:ジョバンニ
6月12日 公開!!
……嘘です。