数百億年前になるかしらね。
アリッサという私より強い子が居たのよ。
其の子に何回も戦っても、私は負けたわ。
幼い時だったからね…力を身につける方法はタクト頼りだった。
秋の出来事よ。

タクトが作った「拓斗秘密基地」って言うのが在ったのよ。
数々の悪を屠る為の、拠点と言うべき存在だったわ。
幾戦に経つにつれて、基地も敵に何回か破壊されたわ。
其の度に、基地を作ったりした…。

此の学園に居ない人たちも居たわ。
敵を倒す為に、裏切って助けてくれた人も居たわ。
途中から、タクトが有能な才能を持つ人を連れてきたりしたっけ。

…。

学園に逃げる途中で…又は逃げる前に殺されたりされたわ。
性格は其々で、中々楽しかったわ…。

…あの頃の私は、自分の名前も覚えてなかった。
タクトが"美里"って名前を付けてくれた時は嬉しかったわ。

〜絶剣ギアブレードとセリアと。〜

-秘密基地内-

アリッサは、剣の手入れをしていた。
敵は2年に一回のペースで湧いてくるので、武器の手入れは重要だった。
自分の獲物が整備されて無ければ、相手に傷一つ与える事も難しい。
そんな時代だった。
アリッサ「美里〜。」
美里「ん〜?」
私は未熟な魔法剣士で、アリッサに二撃与えるのが精一杯だった。
そんな私はアリッサと手合せ出来るのが、楽しみであった。
…ミカはここぞとばかりに私に挑んできたっけ。
アリッサ「手合せしよっか♪」
アリッサが少し笑みを浮かべながら言った。
美里「うんっ」
私も、アリッサにつられて笑った。

…珍しく3年間も敵が出てこなかったので、平和ボケしてた時期でもあった。

タクトは研究に明け暮れる日々だった。
今まで以上に強い武器ができる!
とか言いながら、研究してたっけ。

アリッサと3日に1度は手合せできる…そんな日々。
珍しく、私はタクトの研究室に居た。

此の研究室は、基地内の皆には
「危険なので、なるべく近づかないように。」
と警告までする程。

まぁ…何回か爆発起こしたっけ。
年に30回以上は。

タクト「………。」
タクトは研究と鍛冶に熱心だった。
研究に集中しすぎて、反応速度が凄く鈍かった。
人の気配も感じないくらい努力家だったのかしらね。

美里「タクトー。」
呼ばないと一切気づかない。
タクト「あぁ…美里か。」
…呼ばないと、本当に気付かない。
美里「其の剣って、誰に渡すの?」
タクトが微笑しながら、言う。
タクト「剣の持ち主か…?
    最近だが…測定した結果、美里の武器は皆の武器より多少劣ることが判明した。
    なので、美里専用の武器を作る予定だ。」

実質アリッサと手合せしていく内に、私の武器は弱いのかな…。
とか思う事もしばしばあった。
武器の耐久性、攻撃力…共に低い所為で、
アリッサに傷を与えるのが、戦っていく内に理解できた。

タクト「魂鎖約3メートル、ジェネシックギア1つ、ロンズデーライト4つ…
    ギア導力装置8つ、魔力増力装置3つ、魔核2つ、白銀の鉱岩1個、黒金の鉱岩2個…
    光創剣の欠片175枚、聖王石15個、耐魔石97つ…
    超光属性特化ギア導力システムによる総合的攻撃力の上昇ができる武器を生成するには十分だな。」

…剣を作る構成物かな?
とか当時は良く分からないままスルーしてたわ。
今になっては、化物じみた素材を合成してる事に気づいて驚いてるけどね。

美里「タクト?」
武器を作る研究に夢中になりはじめたか…。
タクト「…ん、あぁ…すまん。 何か用でもあるのか?」
可能か分からないけど、聞いてみる。
美里「私の武器を媒体にして作る事は出来ないの?」
タクト「…御前の武器は耐久性が高いので、媒体にできる可能性は一理あるな。」
美里「武器を作る時になったら呼んでね!!」
タクト「あぁ…。」

…。
数か月経過した頃…。
敵が急に襲いかかってきた。
タクトが武器を作ってる為、私は予備の武器で戦っていた。
主力武器ではなかった為、私は敵の戦力に押されていた。
何とか勝ちましたけどね。

…。
武器制作企画を立てた時期を2年過ぎていた。
2年と数カ月の間に、こんな事をしていたらしい。
武器が完全に固まるのに時間が凄く掛かったらしい。

セリアが主力武器として使っていた耐久性特化爆炎剣に隙間無く魂鎖を巻く。
巻き終えた武器をタタラで溶かし、ロンズデーライトをタタラに放り込む。
強度を限界まで底上げする為に、白銀の鉱岩1個、黒金の鉱岩2個を更にタタラに放り込む。
魔法で折れない様にするため、耐魔石97つを更に放り込む。

タタラ内にある、様々な鉱石を混ぜた混合液を型に流し込む。
光創剣の欠片175枚と聖王石15個をタタラに放り込み、溶かす。
溶かしきった物体を、先ほど流し込んだ型と同じ型に流し込み、混ざるようにする。

少し固まってきたところで、ギア導力システムを作る。
ジェネシックギア、ギア導力装置8つ、魔力増力装置3つで構成されている。
魔核2つは、ジェネシックギアに内蔵する。

武器の形が出来てきたところで、ギア導力システムを武器に内蔵する。
魔武器専門職の人で、限られた人にしか使えない魔武器融合法を発動させれば内蔵できる。
後は、ハンマーで形を整え一気に武器を冷やせば完成。


タクト「できた…!!
    武器の銘は『絶剣ギアブレード』と名付けよう。
    早速、セリアに連絡を入れないとな。」

私は、タクトから武器の完成の連絡が来たので研究室に走って行った。
…連絡が来るまでアリッサとミカ達で一緒に修行してたけどね。

タクト「『絶剣ギアブレード』だ。
    超光属性特化ギア導力システムによる総合的攻撃力の上昇ができる武器だ。
    まぁ、御前に言っても訳が分からないだろうから、取り扱い書を渡しておく。」
美里「ありがとう!!」

私は武器を紋章という自分専用の武器庫に転送して、自分の部屋へ帰った。
部屋に着くなり、私は取り扱い方法が記述された書物を3日掛けて読んだ。

前置きは此処までね…。
其の翌日の出来事が、私の話す本題よ。
アリッサに勝負を挑んだのよ。

状況は明らかに有利だった。
武器のギアを上げるだけで、アリッサを負かす事が出来た。
…出来たんだけどね。

問題が発生した。

当時私の中に、破壊神の意思が居たのよ。
ソイツが暴走してね…。
アリッサに止めを刺すどころか、肉体が爆散し魂が9つに分散した。

其れが原因で、長期間戦闘禁止令をタクトから出されたわ。
仲間からも、グチグチ文句言われたしね。

…今、みかんが居るのは、タクトのおかげ。
禁忌の呪文で、肉体と魔核を生み…分散した魂の一欠片と融合して出来た存在だわ。



…。
…大昔の事だから、少ししか覚えてなくてごめんね。


-生徒会室-(語り部:ウィリ)

此の剣に、そんな歴史があったのか。
絶の力を司る剣は、此の世界に数本しかないとされている。
絶剣と普通の武器とでは、明らかに勝負が見えている。
強いが故に封印された部類の剣も数本あったな。
みかん「まぁ、此の世界は多重平行次元世界と呼ばれる世界だから、魂の分散しなかった次元世界もあるだろうけどね。」
セリア「…そうね。」

…。

リオ「貴様が話している間に、天界へのゲートをセリスが生成したぞ。
   どうする…行くか?」

セリア「もちろん。」
セリア達は絶剣ギアブレードを握り、天界へと向かうのだった。

第二十三章に続く